黎馨儿たちと同じレストランにいたくなかったので、三人は近くの家庭料理店に行くことにした。
フランスレストランほどの格式はないが、個室は静かで上品で、料理も繊細で美味しかった。
「私たちの卒業を祝って、そしてみやびが映画に出演することを祝って、今夜はお酒を飲もうよ」鈴木紀子は二人をちらりと見て提案した。
「確かに祝うべきことね、飲みましょう」西村千晴はうなずいた。
「私、車で来たんだけど」工藤みやびは言った。
「ここには代行運転手がいるから、運転できなくなったら送ってもらえばいいよ」鈴木紀子はそう言って、豪快に洋酒を二本注文した。
西村千晴は工藤みやびを見て、彼女がさっき小沢子遠たちに会ったことでまだ落ち込んでいるのではないかと心配し、優しく諭した。
「小沢子遠のことは気にしないで、あなたの藤崎おじさんは小沢子遠より百倍も素敵じゃない?」