藤崎グループ本社は、相変わらず忙しい日々を送っていた。
各部門の責任者たちは早くから19階に集まり、朝9時からの朝礼で新プロジェクトの企画や、その他のプロジェクトの進捗状況を報告するために待っていた。
しかし、いつも時間通りに出社する彼らの社長は。
今日は……遅刻していた。
各部門の幹部たちは藤崎雪哉の特別秘書である岡崎謙に尋ねた。「岡崎さん、電話して聞いてみてください。社長は今日会社に来るのでしょうか?」
主に、彼らには社長に電話して出社を急かす勇気がなかったからだ。
岡崎謙はエレベーターホールの方向を見て、エレベーターから出てきた人を見た途端、口元が引きつった。
「岡崎、10分後に会議の準備をしておけ」
藤崎雪哉はそう言いながら、工藤みやびの手を引いて皆の前を通り過ぎ、社長室に入っていった。