第230章 工藤司と共に夕食を

夜の帳が下りる頃、西居都郊外。

豪華で優雅なヨーロッパ風の邸宅が、夜の闇の中で特に輝いて目を引いていた。

書斎の中で、工藤司はすでに一時間以上座り続け、パソコンの画面に繰り返し再生される二つの動画を見ていた。

二つの動画のうち一つは工藤みやびが学校でバレエを踊るもの、もう一つは彼女と中山里奈がピアノで競演する動画だった。

執事がドアをノックして入り、尋ねた。

「ご主人様、堀さんが夕食はいつ始めるのかとお尋ねです。」

工藤司は時間を確認し、「志雄はまだ戻っていないのか?」

「先ほど電話があり、もう道中だそうです。」

工藤司は軽く頷き、何も言わずに画面の映像を見続けた。

執事はちらりと見て、「ご主人様は何をご覧になっているのですか?」

工藤司は画面上でピアノを弾く少女を見つめ、物思いにふけるように溜息をついた。