ホテルに戻ると、彼らのフライトまでそれほど時間が残っていなかった。
二人はそれぞれ自分の部屋に戻って荷物をまとめ、撮影クルーと合流して空港へ向かった。
竹内薫乃を工藤家に連れて行かなかったため、薫乃はずっと不機嫌な顔をしていた。
藤崎千明は搭乗を待つ間、こっそり彼女に尋ねた。
「昨夜、一体どうやって工藤司と知り合ったんだ?」
工藤司の今日の行動はあまりにも常識外れだった。
そして彼女も、今日は少し様子がおかしかった。
工藤みやびはもう隠す気もなく、直接答えた。
「昨夜、彼らは誰かを捕まえようとしていて、私を間違えて連行したの。それで石橋林人に電話したら、林人が迎えに来てくれたわ」
「マジかよ、そんな大事なことを俺に言わないなんて!」藤崎千明は怒った。
「言ったところで、あなたはお兄さんに報告するんでしょ?」工藤みやびは彼を横目で見た。