第281章 彼を一人で空っぽの家に残す

藤崎お婆様は藤崎奥様とは違い、藤崎家では夫を支え子を教育するだけの存在ではなかった。

彼女は今では慈愛に満ちた親しみやすい様子だが、かつて藤崎家の当主が亡くなり、藤崎グループが動揺した時、彼女は鉄の意志で立ち上がり状況を安定させ、藤崎家が困難な時期を乗り越えるのを支えた。

だから、彼女の言葉は藤崎家ではとても重みがある。

独断専行な雪哉でさえ、彼女には敬意を払わざるを得ない。

また、彼女が言ったように、彼女が工藤みやびを藤崎家に連れてこなければ、みやびは彼の世界に現れることはなかっただろう。

藤崎雪哉は彼女に言い返せず、黙って彼女が帰るのを待つしかなかった。

藤崎お婆様は本来二人の孫と話すために来たのに、工藤みやびが戻ってくるとすぐに、二人の孫は完全に空気になってしまった。