「……」
工藤みやびは彼の言葉に少し後ろめたさを感じ、言い返すことができなかった。
「藤崎雪哉、私は……かなり卑怯だわ。あなたが望むものをあげられないのに、あなたがくれるすべてを享受し続けている」
彼は彼女に自分を好きになってほしいと願っていたが、彼女にはできなかった。
彼は彼女と結婚して子供を持ちたいと思っていたが、彼女はそれでも拒んでいた。
しかし、彼女は彼が与えてくれるすべてを享受し、彼がもたらす安心感も感じていた。
「僕が欲しいのは本当の気持ちであって、利益の交換ではない」
藤崎雪哉は彼女を腕に抱き寄せ、頭を下げて彼女の額にキスをした。
もし、ただ彼女の体が欲しいだけなら、彼には彼女を従わせる多くの手段があった。
しかし、好きだからこそ、彼はこうして彼女を大切に守り、待ち続けていた……
工藤みやびは彼の首にあるキスマークを見て、恥ずかしそうに手で指さした。
「あの……何か隠せるものを探してあげようか。会社で人に見られたら良くないわ」
彼らは、彼女が社長を何かしたと思うだろう。
「朝の会議で、彼らはすでに見ている。そんなに気にする必要はない」と藤崎雪哉は言った。
工藤みやび:「あなたは……恥ずかしくないの?」
「ないよ、むしろもっとつけてくれても構わない」藤崎雪哉は楽しそうに笑った。
工藤みやびはずっと彼の膝の上に座っていて、少し落ち着かない様子だった。
「あなたにお土産を持って帰ってきたの、見てみる?」
藤崎雪哉は彼女を床に下ろし、彼女についてクローゼットへ行き、箱を開けた。
工藤みやびはスーツケースを開け、中からギフトボックスを取り出し、開けて彼に渡した。
藤崎雪哉は眉を下げて見た。それはネクタイで、サファイアブルーの地に控えめな模様があり、とてもビジネスライクなスタイルと色だった。
工藤みやびはそれを取り出して言った。「ホテルの近くに手作りの洋服店があって、彼らが展示していたネクタイがとても素敵だったから、仕事が終わった後にこっそり仕立て屋さんに習って、これを作ったの」
彼女は何を買って帰ればいいか本当に思いつかなかったが、考えた末に彼が普段よく着るのはビジネススーツとネクタイだと思った。
藤崎雪哉は彼女の手作りだと聞いて、優しい笑みを浮かべた。
「ありがとう、とても気に入ったよ」