「……」
工藤みやびは彼の言葉に少し後ろめたさを感じ、言い返すことができなかった。
「藤崎雪哉、私は……かなり卑怯だわ。あなたが望むものをあげられないのに、あなたがくれるすべてを享受し続けている」
彼は彼女に自分を好きになってほしいと願っていたが、彼女にはできなかった。
彼は彼女と結婚して子供を持ちたいと思っていたが、彼女はそれでも拒んでいた。
しかし、彼女は彼が与えてくれるすべてを享受し、彼がもたらす安心感も感じていた。
「僕が欲しいのは本当の気持ちであって、利益の交換ではない」
藤崎雪哉は彼女を腕に抱き寄せ、頭を下げて彼女の額にキスをした。
もし、ただ彼女の体が欲しいだけなら、彼には彼女を従わせる多くの手段があった。
しかし、好きだからこそ、彼はこうして彼女を大切に守り、待ち続けていた……