第288章 あなたの藤崎おじさんってこんなに可愛いの?

久しぶりに会えたので、三人はランチを食べた後、一緒にアフタヌーンティーも楽しんだ。

空が暗くなりかけた頃、彼女はようやく車で二人を家まで送った。

ちょうど道中、藤崎雪哉から電話がかかってきた。彼女自身は応対できなかったので、助手席に座っている鈴木紀子にハンズフリーボタンを押してもらった。

「どこにいる?」

「千晴たちを家まで送っているところ」工藤みやびは答えた。

鈴木紀子は藤崎雪哉の声を聞いて、信じられないという表情で画面に表示された「やーちゃん」という名前を見た。

藤崎雪哉はそれを聞いて言った。

「後で会社に来てくれ」

工藤みやびは尋ねた、「何をしに行くの?」

「俺を迎えに来て」藤崎雪哉は繰り返した。

工藤みやび:「……自分で帰れないの?」

普通は彼女が彼氏に迎えに来てもらうのに、あなたは彼氏なのに彼女に迎えに来させるなんて、ちょっとやりすぎじゃない?

藤崎雪哉:「気をつけて運転して、待ってるから」

そう言って、電話を切った。

鈴木紀子は彼女の携帯を持ちながら、意味深な笑みを浮かべた。

「みやび、あなたの藤崎おじさんって実は闇萌えタイプだったのね、こんなに可愛いの?」

普段、経済ニュースでは、藤崎社長はいつも冷静沈着で、高貴で誇り高く、仕事以外のことには無関心な様子だった。

だから、昼食時に彼女は藤崎雪哉が年上すぎて、二人の間には世代のギャップがあると言ったのだ。

でも、電話をかけてきたら、まるで甘えるように彼女に会社まで迎えに来てほしいと言うなんて。

見る目がなかったようだ。藤崎社長は表面上は冷静で厳格だが、内心はこんなにロマンチックで優しいのだ。

工藤みやびは気まずく笑いながら、二人を家まで送った後、車で藤崎グループ本社へ向かい、駐車場に着いたら彼に電話をかけた。

藤崎雪哉は電話に出た後、会議室で藤崎千颯をはじめとする幹部たちに簡潔に残業すべき重要な仕事を指示した。

そして、自分は会議を終了して退社した。

「社長、こちらにまだ数枚の書類があります。あなたのサインと確認が必要です」

藤崎雪哉は時間を確認して、「明朝私に渡して」と言った。

藤崎千颯は歯ぎしりするほど腹が立った。家では二人がイチャイチャしているし、会社では彼に山ほど仕事を押し付けて、自分はデートに行くなんて。