第321章 逆に顔面に見せつけられた

監督の土屋凪翔は完全に工藤みやびの演技に圧倒されていた。そして彼の後ろに立っていた脚本家はモニターの画面を見ながら、呆然としていた。

3分前、彼はこの荒木雅が松下靜を演じることは不可能だと確信していた。

しかし今、彼の頭の中には一つの考えしかなかった。彼女以外に彼の求める松下靜を演じられる人はもういないということだ。

19歳の少女が、映画学院で一度も授業を受けていないにもかかわらず、彼女の演技はすでに教科書レベルと言えるものだった。

19歳の年齢で、27歳の軍事情報局情報処長のオーラと冷酷さを完全に表現していた。

銃を構える眼差しと動作、部下への一つ一つの手振り、すべてが彼が構想していた松下靜そのものだった。

監督の土屋凪翔と脚本家は、このシーンが撮り終わったらどんな効果になるのか期待していた。