第335章 彼の美貌に抗えないの？

本間夢はぽかんと瞬きをして、驚いて手が震え、タバコを落としそうになった。

「あなたが言ったのは...彼はあなたの何なの？」

「彼氏よ」工藤みやびは言った。

本間夢はまだ少し呆然としていた。「藤崎雪哉？あなたの彼氏？」

これは彼女が狂ったのか、それとも彼女の耳がおかしくなったのか？

この世界は、どうして突然こんなに狂ってしまったのだろう？

「うん」工藤みやびは答えた。

「あなたが言っているのは、日本一の財閥の藤崎雪哉で、他の同姓同名の人ではないの？」本間夢はまだ信じられないようだった。

工藤みやびは彼女の崩壊しそうな信じられない表情をちらりと見て、「彼でなければ、藤崎家があなたたちを追っていることをどうして知っているの？」

「この情報量はちょっと多すぎるわ、落ち着かせて」

本間夢は横を向いて彼女を見つめ、この爆発的なニュースで頭がぼんやりしていた。

工藤みやびは注意した。「ずっと私を見ないで、藤崎家の人が密かに私を追っているから」

本間夢は平然と向かいの木の方を見て、数分冷静になってから尋ねた。

「堀夏縁に対抗するために、藤崎雪哉の力を借りようとしたの？」

「もし私が彼の力を借りて堀夏縁に対抗するつもりなら、今まで何もしないでいるはずがないでしょ？」工藤みやびは言った。

それに、彼の力を借りたのは彼女ではない。

彼女は逃げようとしても逃げられず、強引に押し付けられたのだ。

「それが目的じゃないなら、なぜ彼と一緒にいるの？」本間夢は問い返した。

藤崎家と工藤家の関係がどれほど険悪か、彼女自身が工藤家で育ったのだから、彼女より詳しいはずだ。

今、彼女は工藤家で死に、再び生き返ったのに、藤崎雪哉の女になった。

もし藤崎雪哉の手を借りて復讐するためでなければ、彼女が藤崎雪哉に近づく価値のある他の理由は思いつかなかった。

工藤みやびは艶やかに微笑んで、「愛情のためじゃダメ？」

本間夢はそれを聞いて肩を震わせて笑った。「昔、誰が藤崎雪哉の写真をダーツの的にして投げてたっけ？誰が藤崎雪哉みたいな人は絶対ゲイだって言ってたっけ？今になって愛情のためだって言うの？」

工藤みやびは穏やかに微笑み、何も弁解しなかった。

ある種のことは、自分が理解していればいい、すべての人に説明する必要はない。