堀夏縁の登場により、イベントに参加していた多くの映画関係者が、この伝説的な女優に会いに握手をしに行った。
工藤みやびは堀夏縁の指にあるダイヤの指輪を見て少し驚いた。どうやら彼らの婚約のうわさは、嘘ではなかったようだ。
かつて彼女が工藤司から得たいと思っていたすべてのものを、最終的に堀夏縁が手に入れたのだ。
藤崎千明は、まるで月を取り巻く星々のように熱烈に歓迎される堀夏縁を見て、呆れたように鼻を鳴らした。
「『命果てぬ夢』一本で、何が自慢になるんだ?」
工藤みやびは藤崎千明をちらりと見て、「じゃあ、私たちも映画を撮らない?」
藤崎千明はそれを聞いて、何度も首を振った。
「もう君と一緒に映画を撮ったりテレビ番組に出たりしたくないよ。何もないのに、兄貴が訳もなく嫉妬するんだから」