藤崎千颯は彼らが自分の一番食べたかったティラミスを食べ終えるのを見て、悔しくて泣きそうになった。
天水ヴィラを出た後、怒りに任せて帝都で一番有名なティラミスを買いに行ったが、食べてみると彼らが食べていたものの香りほど美味しくないように感じた。
藤崎千明がビデオ通話をかけてきて、藤崎千颯がフォーク二本を手に持ってケーキを貪り食う姿を見て、顔をしかめた。
「おいおい、何かショックでも受けたのか?」
「兄貴が、実の兄貴がケーキを一口も食べさせてくれなかったんだ。それどころか俺の目の前で全部食べちゃって、皿すら舐めさせてくれなかった」藤崎千颯は怒りながら訴えた。
藤崎千明は鼻を鳴らして言った。「お前が兄貴の誕生日ケーキを盗んで、一人で食べたのが足りなかったのか?」
兄の誕生日の日、ケーキを食べる時間がなく、後で兄が忙しくて食べられなかった。そしてこいつが盗んで一人で食べてしまったのだ。