MGが新製品発表会を開催するため、契約の翌日から広告撮影に入るよう要請された。
工藤みやびはちょうど他の予定もなかったので、イタリアに残ってMGの来月グローバル展開する広告の撮影を引き受けることにした。
ホテルに戻ると、アシスタントの岡崎は帰国の準備をして、荷物をすべてまとめていた。
しかし、二人が戻ってくると、石橋林人は契約書を手に喜びを爆発させた。
「雅がイタリアに残って、MGの来月公開の広告を撮影することになったよ」
アシスタントの岡崎は頭をかきながら、「MGはすでに堀夏縁さんと契約したんじゃなかったの?」
「堀夏縁のアジア地域の代弁者なんて何だというの、私たちはグローバル代弁契約を結んだんだよ」石橋林人は興奮して契約書を岡崎に見せながら言った。「レストランを予約して、今夜はしっかりお祝いしよう」
アシスタントの岡崎はちらりと見て、確かにグローバル代弁者の契約だった。
「でも、なんだか夢みたいな気分だよ」
「あなただけじゃない、私もそう感じるよ」と石橋林人は言った。
昨日までアジア地域の代弁者の話もなかったのに、今日MGの人たちが彼らにグローバル代弁契約を頼んできたのだ。
今彼は、自分がタレントを引っ張っているのではなく、チート能力を持ったタレントが彼らを引っ張っているような気がした。
これは彼が業界に入って何年も経つが、最も楽に担当しているタレントだった。
工藤みやびは彼らほど興奮していなかったが、石橋林人に向かって言った。
「こちらで撮影が始まるなら、金鳳賞の授賞式には行けなくなるわね」
明後日は金鳳賞の授賞式で、彼女は最優秀助演女優賞にノミネートされており、本来なら出席すべきだった。
しかし、今MGの広告撮影が始まるなら、間に合わなくなる。
「行けなくても仕方ないよ、後で三の若様に連絡して、もし受賞したら代わりに受け取ってもらえばいいさ」と石橋林人は気にせず言った。
他の人なら、初めての映画賞ノミネーションだから何としても戻って参加するだろう。
『追跡の眼』が公開されれば、彼女にはこのようなチャンスがたくさん来るだろう。
MGの代弁という重要な仕事は、もちろん何かの授賞式に参加するよりも重要だ。
「竹内薫乃は最近、記事が飛び交っていて、金鳳賞に向けて盛り上げているわね」