第412章 この香水の名は「想い出」

代理人面接の第一ラウンドでは、すべての面接者が着ている服のために、1分間の短い映像を撮影します。

しかも、チャンスは一度きりです。

調子の悪い人たちは、撮影に入るとすぐに問題が発生し、1分も撮り終わらないうちに出てきました。

このような厳しい要求のおかげで、面接はとても速く進みました。

数十人の撮影が、2時間もかからずに完了しました。

30分後、MG社の面接通知担当者が来て、一部の人たちに第二ラウンドの面接を通知しました。

工藤みやびと堀夏縁は両方とも第二ラウンドの面接者の列に入りましたが、竹内薫乃は予想通り落とされました。

竹内薫乃は不満そうに工藤みやびの方向を見ました。彼女は落とされたのに、みやびはまだ第二ラウンドに進めるなんて。

しかしよく考えると、みやびが進んでも無駄だと思いました。MGのアジア地域の代理人は堀夏縁以外にありえないからです。

彼女は堀夏縁と名残惜しく別れを告げました。「夏縁姉さん、これからの面接頑張ってね。」

「ありがとう。」堀夏縁は礼儀正しくお礼を言い、竹内薫乃がマネージャーとアシスタントを連れて去っていくのを見送りました。

第二ラウンドの面接内容は、MGが今シーズンに発売予定の香水広告の撮影で、撮影時間は3分間でした。

第二ラウンドの面接に参加する全員が、香水を受け取りました。

堀夏縁は香りを嗅いでみました。とても爽やかなオードトワレでしたが...しかし、これは工藤みやびがかつて使っていたオーダーメイドの香水でした。

しかも、工藤司はその時、この香りがとても好きだと言っていました。

後に彼女が工藤家を訪ねた時も、この香水を見つけることができませんでした。

マーティン・グリーンが工藤みやびの同意書を得ていなければ、彼女のためにカスタマイズしたこの香水を発売することはなかったでしょう。どうやらみやびは彼との契約解除と同時に、一部の作品を彼に持ち去らせたようです。

彼女は覚えていました、この香水の名前は「想い出」と呼ばれていました。

おそらく工藤みやびが工藤司のために、マーティンに調合させた香りだからこそ、「想い出」などと呼ばれているのでしょう。

マーティン・グリーンのアシスタントは全員に撮影用の香水を配布した後、説明しました。