第428章 君はこんなに可愛いから、もちろん口説きたい

工藤みやびは石橋林人の言葉を聞いて、美しい眉を上げた。

「どの目で見たの？」

石橋林人：「両目で見たよ」

この数日間、マーティンは彼女に対してますます親切になっていた。

彼らが知り合ってまだ数日しか経っていないのに、こんなに親切にするのは適切なのだろうか？

「考えすぎよ」

工藤みやびはメイクを落とし、更衣室に行って自分の服に着替えた。

マーティンは今の彼女が彼の知っている工藤みやびにとても似ているから、特別に気を配っているだけだ。

他の人のことは、彼女にはわからない。

しかしマーティンはこの世界で彼女の安全を気にかけてくれる数少ない人の一人であり、しかも以前から何年も知り合いだったので、彼女は自然と距離を置くことをしなくなっていた。

石橋林人は彼女が出てくるのを待って、小声で注意した。

「僕が考えすぎでも構わないけど、社長が考えすぎなければいいだけだよ」

工藤みやび：「……」

家に嫉妬深い人がいると、日々の生活は大変だな。

石橋林人は彼女が何も言わないのを見て、言った。

「三の若様が特に言っていたよ。彼のお兄さんは嫉妬深いから、君と他の異性との距離を監視するようにって」

とにかく、彼は今や完全に受け入れていた。彼の憧れの人が彼女に奪われたという現実を。

「仕事の相手と、どんな距離を取るっていうの？」工藤みやびは鼻で笑った。

石橋林人：「じゃあ、マーティンと一緒に夕食に行くの？」

「ただ食事をするだけよ。国内で撮影するとき、監督と食事会をしたことないの？」

工藤みやびは呆れて反問した。長年憧れていた人だったのに、彼はあっさり諦めたものだ。

それに、すぐに藤崎千明の後を継いで、二番目の子分になったなんて。

「食事会って、君だけを招待するの？」石橋林人は反問した。

マーティンはここ数日、暇さえあれば彼らのところに来ては、これを贈ったり、あれを贈ったり。心に何か企みがなければ、こんなことするだろうか？

「もういいわ、余計な心配はしないで」工藤みやびは車に乗り込んで言った。

「藤崎雪哉という壁は私には越えられないし、越えようとも思わない」

ただ、旧友に会えるのは珍しいことで、今回の仕事が終わったら一緒にいられる機会も少なくなるから、ただの古い友人として交流しているだけだ。