第473章 工藤司、私の幸せを奪うべきではなかった

工藤司が去ると、部屋は果てしない静寂に包まれた。

工藤みやびはベッドに横たわり、テレビで風蘭国のテロ攻撃に関するニュース報道を見ていた。

工藤司は藤崎雪哉の目には、彼女はすでに死んだ人間だと言った。

つまり、今回のテロ攻撃を隠れ蓑にして、彼はすでに藤崎雪哉に遺体を用意したのだろう。

そして、あらゆる手段を尽くして藤崎雪哉に、死んだのは彼女だと信じ込ませようとしている。

そうすれば、藤崎雪哉は彼女を探さなくなり、数日後には彼女は工藤みやびの姿に整形される。

この世界から、荒木雅はいなくなるのだ。

藤崎雪哉が今、風蘭国で直面しているすべてを思うと、彼女は胸が痛み目を閉じ、涙が静かに頬を伝った。

彼はどれほど心を痛め、どれほど悲しんでいることだろう……

工藤司、あなたはすでに私の心臓を堀夏縁に奪い取った。