第511章 本間夢の本当の名前

「本間壮佑？」

カーマン・ドランスはその名前を聞いて、断固として反対した。

「あり得ない、本間壮佑は約束を守る男だ。彼は私の娘を何が何でも守ると約束してくれた」

実際、彼はこの数年間それを果たしてきた。

「問題は彼が娶った女、本間夢にある」と工藤司は言った。

「本間夢？」カーマン・ドランスは問い返した。

以前、本間壮佑は彼に結婚して子供もできたので、彼に任された任務から退きたいと言ってきたことがあった。

しかし、その時彼はそれを許可しなかった。

だが、そのような要求を拒否したからといって、彼が娘を傷つけるような人間であるはずがない。

「彼女の名前は本間夢ではない」

工藤司は黒田志雄から渡された書類を受け取り、カーマン・ドランスに渡した。

「彼女の本名は河村紗世、アンダーソン家の出身だ」

アンダーソン家は常にドランス家と水と火のような関係にあった。このような人物がみやびを守る本間壮佑に近づいていた。

彼女は疑わざるを得なかった。彼女は最初から本間壮佑に近づき、みやびの身元を探り出したのではないか。

カーマン・ドランスは渡された書類をめくりながら言った。「つまり、本間壮佑が彼女にみやびの正体を漏らし、それによってアンダーソン家があの暗殺を計画したということか？」

もしその女が本当にアンダーソン家の出身なら、そのような疑いは理にかなっている。

ただ...本間壮佑は彼が最も信頼する側近の一人だった。

彼がみやびを害したとは、どうしても信じられなかった。

「みやびが連れ戻された後、本間壮佑とその女は亜蘭国から姿を消した。そして今...彼らは藤崎雪哉のために働き始めようとしているようだ」と工藤司は言った。

カーマン・ドランスはそれを聞いても、すぐには彼の言うことを完全に信じなかった。

「あなたの言うことは、私の部下に確認させる」

高い地位にいる者として、彼は他人から告げられた情報を簡単に信じることはなく、自分の部下が調査した結果だけを信じるのだった。

この数年間、彼女の身元が漏れることを恐れて。

だから、彼はずっと我慢して彼女に直接会わず、彼女の情報を過度に気にしないようにしていた。

結果として、彼女の死の知らせさえも、こんなに遅れて知ることになった。