第565章 よく見て、私には胸がある

カーマン・ドランスの邸宅での夕食を終え、工藤みやびたちはホテルに戻った。

部屋に入るとすぐに、バイカーレザージャケットを着た男が座っており、タバコをくゆらせながらくつろいでいた。まるで自分の家にいるかのようにリラックスしていた。

彼女は驚いて言葉を発する間もなく、彼女の後ろを歩いていた三浦星安が風のように駆け寄り、その人物と戦い始めた。

拳と足が飛び交い、あっという間に椅子やテーブルがめちゃくちゃに壊れていった。

最終的に三浦星安のナイフが相手の首に突きつけられ、相手の銃も彼女の額に向けられていた。

「星安、味方だから、そんなに緊張しないで」と工藤みやびは言った。

彼女の部屋にいたのは男ではなく、男装した本間夢だった。

しかし、ドランス家の人々が彼女を追っているというのに、カーマン・ドランスの目の前で彼女に会いに来るなんて。

彼女の勇気を褒めるべきか、それとも無謀さを叱るべきか?

三浦星安は彼女の言葉を聞いて本間夢をじっと見つめ、ナイフを引っ込めた。

しかし本間夢はその流れで小柄な三浦星安を抱き寄せ、遠慮なく彼女を冗談めかして口説いた。

「かわいい子ちゃん、腕前いいじゃないか」

三浦星安は怒り、彼女に背負い投げをかけようとした。

しかし、本間夢は用心していたので、彼女の技は決まらなかった。

ただ、この冗談がきっかけで、三浦星安はまた彼女と戦い始めた。

工藤みやびと石橋林人は壁に寄りかかって立ち、二人が戦い終わるのを待ってから話し始めた。

「満足した?外の広場でもう一戦する?」

本間夢は三浦星安に引きちぎられたかつらを拾い、再び頭にかぶった。

「見た目はかわいいのに、なんでそんなに手加減しないの?」

「もういいでしょ、男じゃないんだから、女の子に手を出さないで」と工藤みやびは呆れて言った。

特に、三浦星安は見た目はかわいいのに、戦いになると非常に凶暴な女の子だった。

本間夢はかつらをきちんとかぶり直し、再びタバコに火をつけた。

「カーマン・ドランスに会ったの?」

「うん、会った」工藤みやびは座れる場所を見つけて座った。

本間夢は三浦星安と石橋林人を見て、「彼女と二人きりで話せる?」と尋ねた。

三浦星安は彼女をじっと見て、「ダメ」と言った。

本間夢はタバコをくわえたまま、自分の上着を脱ぎ、服をめくって見せた。