大雨は前日の午後から降り始め、翌朝になってようやく止んだ。
雨が止み、太陽は予定通りに昇った。
車の中で一晩過ごした工藤みやびたちは、我慢できずに車から降りて体を伸ばした。
食料が不足していたため、全員がお腹を空かせていた。
ガイドとカメラマンは前の車の食べ物に目がくらんでいたが、彼女と三浦星安の強い反対により、空腹を我慢するしかなかった。
工藤みやびは雨上がりの荒野を見渡し、道の先にまだ工藤司の車が停まっているのを見た。
三浦星安もそれを見て、小声でつぶやいた。
「あの人、病気なの?あなたを追いかけ回して何がしたいの?」
前回は彼女を工藤家に連れて行き、今度はストーカー行為だ。
目が見えないのか?
彼女が社長の女だということを知らないのか?
工藤司の部下たちは再び彼らに近づいてくることはなかったが、去ろうともしなかった。
工藤みやびは彼らがまだいることを知っていたが、無視していた。
本来なら三日目まで待たなければ、藤崎雪哉が手配した救援隊が来ないと思っていた。
しかし、その日の夕方、三浦星安が車の外で水を飲んでいると、遠くに救助のために低空飛行しているヘリコプターを見つけた。
彼女はすぐに窓をノックして、工藤みやびを車から呼び出した。
「あそこを見て、きっと彼らが来たわ」
社長が手配した人以外に、この人気のない地域の上空をヘリコプターで遊覧する人はいないだろう。
三浦星安は工藤みやびのショールを引っ張り、車の屋根に登ってヘリコプターの方向に向かって手を振った。
しばらくすると、ヘリコプターは彼らの方向に飛んできて、上空で旋回した後、着陸場所を見つけて降りてきた。
ヘリコプターが着陸するとすぐに、石橋林人がドアを開けて飛び降り、彼らを見つけて安堵のため息をついた。
「ようやく見つけましたよ」
ずっと連絡が取れなかったため、社長はすぐに二機のヘリコプターを手配し、彼と他の二人のボディガードを連れて人気のない地域で捜索していた。
昨晩の大雨でさらに捜索は困難になっていた。
工藤みやびは車から自分のバッグを取り、「やっと来てくれたのね」と言った。
石橋林人は彼女と三浦星安を見て、彼らの荷物を受け取りながら言った。
「先にヘリに乗って行きましょう。社長もそろそろ到着するはずです」