第637章 今や十八線に落ちぶれるだろう

工藤みやびが坂口飛羽たちを連れて海外の映画祭に行き、プレミア上映会を開催している時。

[荒木雅が竹内薫乃を平手打ち]がツイッターのトレンド1位になり、各大手ポータルサイトのヘッドラインを飾っていた。

竹内薫乃が病院にいる写真がネットに流出し、竹内薫乃のファンたちの怒りをさらに煽った。

竹内薫乃は病院で一晩過ごした後、翌日には『あの青春、君と出会った』のプロモーション活動に参加した。

しかし、マスクをつけていた。

それでもファンたちはマスクの端から彼女の顔の傷を見て、心を痛め、怒りを感じていた。

「薫乃、私たちはずっとあなたの味方よ」

「薫乃、最後まで一緒に戦うわ」

……

竹内薫乃が殴られた事件は、ファンの心配と注目を集めると同時に、多くの一般人からも同情を得た。

しかし、インタビューで荒木雅との衝突について聞かれた竹内薫乃は、相手を中傷するどころか、自責の念を込めてこう答えた。

「おそらく、私が何か言い方を間違えて、荒木さんを怒らせてしまったのだと思います」

彼女のこの発言は、さらにファンの同情を誘った。

また、一般人からの好感度と人気も高まり、『あの青春、君と出会った』への注目度も上がった。

プロモーション活動が終わり、車に乗った竹内薫乃にマネージャーが尋ねた。

「薫乃、あの時メイクルームには他に誰もいなかったの?」

「私と荒木雅だけよ。他の人は全員外にいて、私たちが何を話したか聞こえるはずがないわ」と竹内薫乃は言った。

数回平手打ちされたけれど、今や人気が高まり、それによって荒木雅を押し下げることができるなら、価値があると思った。

「荒木雅と千秋芸能は全く反応していないのが少し変だわ」とマネージャーは不安そうに言った。

通常なら、こういう事態が起きれば、少なくとも何らかの広報対応をするはずだ。

しかし、荒木雅と彼女のマネージャー、さらには藤崎千明まで、みんなツイッターで他の人と言い争うことに忙しいようだった。

まるで、この事件が荒木雅にどんな影響や結果をもたらすかなど、まったく気にしていないかのようだった。

「もう事態はここまで来てしまったのだから、彼らがどんな対応をしても無駄よ」と竹内薫乃は冷たく鼻を鳴らした。