灯りが暖かく、ロマンチックな英語の恋愛ソングが流れ、至る所にロマンティックな雰囲気が漂っていた。
工藤みやびは部屋のドアを閉め、にこにこと言った。
「あなた、まだ食事してないでしょう?今、料理を届けてもらったところよ」
藤崎雪哉は手を洗い、食卓に座って、食事をしながら向かいに座っている彼女を見つめた。
「これは、僕を誘惑しているとみていいのかな?」
工藤みやびは笑いながら尋ねた。「そんなに分かりやすい?」
藤崎雪哉はナイフとフォークを持ち、皿の上のステーキを切りながら言った。
「何もないのに親切にするのは、きっと…」
工藤みやびはにっこり笑いながら自分のステーキを一切れフォークで刺し、腕を伸ばして彼に食べさせた。
「あなたのことが大好きだからよ!」
藤崎雪哉は近づいて彼女が差し出したステーキを食べ、言った。
「何か企んでるの?」
「半月も会ってなかったから、ちょっとロマンチックにしたかっただけよ。何を企むっていうの?」と工藤みやびは言った。
彼女はもともとこんなに大げさにするつもりはなかったのだが、藤崎千明がこだわって準備すると言ったのだ。これは彼女を罠にはめたのだろう。
藤崎雪哉の唇の端がかすかに上がり、赤ワインを持ち上げて一口飲んだ。
「ただロマンチックにしたいだけ?」
工藤みやびは彼がしつこく聞いてくる様子を見て、ナイフとフォークを置き、直接明かりをつけ、アロマキャンドルも吹き消し、音楽も止めた。
「気に入らないなら、もういいわ」
「気に入らないわけじゃない」
藤崎雪哉は食事を終え、ナプキンで唇を拭き、先ほど持ってきた紙袋を彼女に渡した。「先週出張で買ってきたプレゼントだ」
工藤みやびはそれを受け取り、中のプレゼントを開けた。それは貴重な天然オパールで作られたイヤリングで、宝石は灯りの下で輝いていた。
彼女は耳につけていたピアスを外し、イヤリングをつけようとしたが、鏡がなかったため何度か試してもうまくつけられなかった。
藤崎雪哉は立ち上がり、テーブルを回って近づき、彼女の手からイヤリングを取り、簡単に彼女につけてあげた。
工藤みやびはイヤリングに触れ、尋ねた。
「きれい?」
藤崎雪哉の目には深い優しさと笑みが浮かんでいた。「とても美しい」