第675章 彼らに犬同士で噛み合わせる2

竹内おばあさまの話を聞いて、竹内家成はいくらか動揺した。

大学卒業後、仕事に就いてからまもなく荒木家に婿入りし、上流階級の生活を送っていた。

今、突然何も持たずに故郷の小さな町に戻るなんて、彼は生きていけないだろう。

竹内おばあさまは彼が動揺しているのを見て、さらに言い続けた。

「あなたはもうこの年齢で、会社がなくなったら、どこの会社があなたを雇うというの？結局は肉体労働をすることになるわよ。あなたはそんな生活に耐えられるの？」

「母さん、一日夫婦百日の恩があるし、美琴はこれだけ長い間一緒にいたんだ。こんな風に彼女に…」

竹内家成は夫婦の情を思い、多少なりとも忍びないと感じていた。

本妻の荒木遥香と比べると、中山美琴への感情はより深いものがあった。

「今、あなたも見たでしょう。荒木雅は荒木お爺さんが残した遺言書を握っているわ。彼女が譲歩しなければ、あなたは何も手に入れられないのよ」竹内おばあさまは他人のことなど気にせず、自分の息子がうまくやっていければそれで十分だと思っていた。

結局のところ、嫁は一人いなくなっても、将来また娶ればいい。

つまるところ、荒木雅が憎んでいるのは中山美琴であり、彼女を差し出せば、彼らは無事でいられるのだ。

しかし、頑なに中山美琴と一緒にいようとすれば、彼らは何も得られず、両手空っぽになってしまう。

故郷を離れた当時、彼らはとても誇らしげだった。息子は大企業の社長で、彼女を都会に呼び寄せて幸せな生活を送らせるためだった。

今、何も持たずに恥ずかしげに帰るなんて、彼らには面目がない。

かといって帝都に留まるにしても、彼らの居場所などどこにもない。

竹内家成が迷っているところに、携帯電話が鳴った。

「竹内さん、私は荒木雅の代理弁護士です。荒木さんの意向としては、彼女の母親を死に追いやった人に代償を払わせたいということです。他の人については、そこまで追及するつもりはないようです」

「あなたは…どういう意味だ？」竹内家成は問い詰めた。

「つまり、竹内さんが中山さんを指名して、荒木さんが母親の仇を討つことができれば、会社は取り戻さないということです。結局、彼女は今そのくらいのお金に困っているわけではありませんから」弁護士は丁寧に説得した。