第669章 『微睡の淵』初公開会2

工藤みやびと他のクリエイティブスタッフは、それぞれ自分が演じた役柄について語った。

藤崎千明はその場で映画のテーマソング「目覚め」を歌い、そのまま試写会の鑑賞パートに入った。

映画の上映時間は120分で、終わるとすぐに会場の照明がついた。

司會者が前に出て尋ねた。「私たちの『微睡の淵』はいかがでしたか？」

「素晴らしい！」会場から一斉に答えが返ってきた。

工藤みやびと他のクリエイティブスタッフが再び舞台に上がり、すべての観客に向かって頭を下げて感謝の意を表した。

客席のファンたちは、シンプルでエレガントなドレスを着た少女を熱い視線で見つめていた。彼女たちがここに来て彼女を応援したのは、主に彼女の以前の映画が好きだったことと、彼女が最近経験したすべてのことが理由だった。

だから、彼女が監督した映画にそれほど大きな期待を抱いていた人はあまりいなかった。

しかし、見終わった今、彼らは自分たちのアイドルが決して彼らを失望させたことがないことを知った。

監督としても、俳優としても、彼女は常に最善を尽くしていた。

この映画がロカルノ映画祭にノミネートされたのは、まさに実力通りだった。

上映終了後、工藤みやびたちがメディアとファンからの質問に答える時間となった。

昨夜の『素顔の対話』番組のおかげで、不利な立場にあった彼女と竹内薫乃の関係は一転した。

そのため、メディアからの質問はほとんど彼女と竹内薫乃の確執についてだった。

「荒木雅さん、あなたと竹内薫乃さんは父親が同じで母親が違う姉妹だそうですが、なぜずっと公表されなかったのですか？」

工藤みやびは苦笑いして、「特に言うべきことだとは思いませんでした。皆さんには私個人や作品に注目していただきたいのであって、それ以外のことではないと思います」と答えた。

「荒木雅さん、あの時の事故について、あなたは事故だと思いますか、それとも人為的なものだと思いますか？」

工藤みやびは唇を噛んでため息をつき、こう宣言した。

「まず、皆さんが私のことを気にかけてくださって感謝します。ですが、今日は映画の試写会ですので、映画に関する質問をしていただければと思います」

一部のメディアは彼女の顔を立てて、この件についてこれ以上追及しなかった。