第648章 顔を潰すなら、やはり現場でやるのが痛快だ

この日は、多くの人が待ち望んでいた日だった。

竹内薫乃のファンや怒りに満ちた一般人たちは荒木雅が現れて自分の行為に責任を取ることを待ち、荒木雅の熱心なファンたちは彼女が真実を公表するのを待っていた。

そのため、早くから荒木雅のツイッターに注目し、彼女の発言を待っていた。

帝都テレビ局、メイクルーム。

竹内薫乃は自分の専属メイクアップアーティストにメイクをしてもらいながら指示していた。

「口紅はつけないで、青白く弱々しく見せて」

マネージャーが横に立ち、つぶやいた。

「千秋芸能の人たちが一緒に番組に出ようって言ってきたけど、罠じゃないよね」

一昨日、千秋芸能から連絡があり、この件を解決したいと言ってきた。

さらに、事件が帝都テレビ局で起きたのだから、テレビ局で解決しようと。

そこで、帝都テレビ局の『素顔の対話』という番組への出演を約束した。

この番組は従来から感情調整系の番組で、和解できない対立を抱える夫婦、友人、親子に対話のプラットフォームを提供するものだった。

「もうここまで来て、彼女に何ができるっていうの?」竹内薫乃は冷笑しながら言った。

以前彼女はテレビ局で殴られたので、テレビ局の人々は一般的に彼女の味方をしていた。

「荒木雅はまだスイスにいて帰ってきていないはずだから、この番組に本人が来るわけないよ」とマネージャーが言った。

「この状況で、彼女が出てこれるわけ?来たとしても、現場や生放送の視聴者に袋叩きにされるだけよ」竹内薫乃は得意げに言った。

マネージャーもそうだと思い、アドバイスした。

「番組では寛大で礼儀正しく振る舞って。荒木雅が直接謝罪してくれれば、他のことは気にしないようにね」

彼らが弱々しく寛大であればあるほど、荒木雅側の横暴さが際立ち、ファンや視聴者からの同情と好感を得ることができる。

「わかってるわ」竹内薫乃は鏡で自分のメイクを確認しながら指示した。「荒木雅が枕営業で出世したという情報を流して」

マネージャーはそれを聞いて、携帯電話を取り出し、担当チームに電話をかけた。

一方、別の控室では、石橋林人が鏡の前で髪型を整え、メイクアップアーティストに眉毛を整えてもらっていた。

藤崎千明は彼を無言で見つめ、「自分でライブ配信して説明すれば済むことなのに、わざわざテレビに出る必要ある?」と言った。