第672章 竹内おばあさまが訪ねてきて哀れを装う

午後2時、工藤みやびはテレビ局に到着し、最初のインタビュー番組を収録した。

誤解が解けたため、番組収録はとても順調に進み、テレビ局のスタッフも彼女に非常に友好的だった。

番組収録が終わり、二人がスタッフに別れを告げていると、疲れ切った表情の竹内おばあさまが竹内彩に支えられてやって来た。

二人は彼女を見て、哀れっぽく尋ねた。

「雅、私たち...少し話せないかしら?」

工藤みやびは軽く微笑み、石橋林人に何か言った。

石橋林人はテレビ局のスタッフと話し、彼女たちが話せる休憩室を用意してもらった。

テレビ局のスタッフの一人が見て、石橋林人に尋ねた。

「あのおばあさまは...?」

石橋林人は眼鏡を直しながら鼻を鳴らして言った。「竹内家のおばあさまだ。竹内家成たちのために情けを請いに来たんだ」

工藤みやびと竹内おばあさま、そして竹内彩は休憩室に座った。休憩室の一面はガラス張りで、外から中の様子は見えるが、彼らが何を話しているかは聞こえなかった。

「何か用があるなら、はっきり言ってください。私はまだ予定があるので急いでいます」

竹内おばあさまは卑屈な様子で、「雅や、あなたは本当にお父さんを訴えるつもりなの?」

「内容証明はもう送りましたよ」工藤みやびは言った。

「彼はあなたのお父さんよ。会社はこれまで何年も彼が管理してきたのに、今になって会社を取り戻すなんて、それはお父さんを何も持たせないということじゃないの?」

竹内おばあさまは同情を引くために、髪も乱れ、服もしわくちゃになっていた。

工藤みやびは可笑しそうに反問した。「彼が荒木家に来た時、何も持っていなかったじゃないですか。どうして荒木家で何十年も栄華を享受したのに、荒木家のすべてが彼のものになるんですか?」

「この何年もお父さんは会社のために苦労してきたのよ。功績がなくても労苦はあったはず。あなたがどんなに親不孝でも、彼を会社から追い出し、家から追い出すほど冷血であってはいけないわ」竹内おばあさまは話しながら、目を赤くして泣きそうになった。