神崎山雄は穏やかな口調で話したが、その言葉には拒否できない決意が込められていた。
神崎弥香と神崎翔は不本意ながらも、渋々承諾するしかなかった。
神崎山雄はその後、神崎翔を書斎に呼び、神崎弥香は一人で部屋に戻った。
書斎に着くと、神崎山雄は青水荘リゾートの件について自分の見解を神崎翔に伝え、入札時の注意点をいくつか言い聞かせた。
その話題が終わると、神崎山雄は表情を引き締め、厳しい声で切り出した。「お前の外での行動はとっくに耳に入っている。すぐに外の女と縁を切って、家庭に心を向けろ。はっきり言っておくが、もし神崎弥香と離婚するようなことがあれば、神崎家の財産は諦めろ」
これらの言葉は神崎翔にとって耳タコだった。彼には理解できなかった。なぜ祖父は落ちぶれた部外者のためにこれほど自分に厳しいのか。結局、自分こそが彼の実の孫なのに。