第125章 御曹司の新しい恋愛!

神崎弥香は息を詰まらせ、喉に何かが詰まったような感覚で、何も言葉が出てこなかった。

三神律は上着のポケットに手を入れ、指輪の入った箱に触れた。まぶたが軽く震え、彼は一瞬固まった。最後には何事もなかったかのように手を移動させ、銀行カードを取り出した。

「このカードの副カードを君に残しておく。暗証番号はなく、利用限度額もない。好きなだけ使っていいよ。よく考えてみると、僕たちが一緒にいた間、僕は君に何も贈り物をしていなかったね。おそらく僕は本当に人を愛することができないんだ。ごめん、もっと君に優しくできなくて、君を失望させてしまって。」

三神律は表面上は冷静にこう言ったが、内心では既に激しい波が立っていた。

「あなたのカードなんていらない!」神崎弥香は彼を見ることができず、頑固に背を向けたが、涙はすでに顔全体を濡らしていた。

三神律は彼女の声に込められた嗚咽を聞き取り、彼の心は痛み始め、ほとんど息ができないほどだった。

彼は突然、彼女をすぐに抱きしめたいという衝動に駆られた。彼の呼吸は止まり、手は強く拳を握りしめ、何度も我慢したように見えた。最後には、彼はやはり耐えた。

彼女を尊重し、彼女の手を放すと言った以上、言葉通りにしなければならない。

三神律は感情を隠してベッドに向かい、銀行カードをナイトテーブルに置いた。彼は神崎弥香の背中を見つめながら、顔には相変わらず甘やかすような優しい声で言った。

「僕のためにお金を節約する必要はないよ。これが今の僕が君を満足させられる唯一のことだ。おそらく僕にはこれしか残っていないんだろう。」

彼の顔色は灰白で、顔には無意識に自嘲の色が浮かんだ。彼は一瞬止まり、付け加えた。「それと、君は胃腸が弱いから、これからは栄養のないものを適当に食べないように。自分をちゃんと大切にしてね。」

「……」神崎弥香は口を開けば泣き出してしまうのではないかと恐れ、唇を強く噛みしめ、何も言わなかった。

「弥香!」

三神律の喉仏が動き、最後に神崎弥香の名前を呼んだ。まるで自分の感情を必死に抑えているかのようだった。

「行くよ。」