第183章 救世主が到着!

神崎弥香の顔は真っ青になり、彼女の指は椅子の背もたれをきつく握りしめ、瞳には怒りの炎が燃え上がっていた。彼女は大声で怒鳴った。「河野川司、あなたは本当に畜生よ!」

河野川司は無関心な表情で神崎弥香を見つめ、その後陰気に笑い始めた。「神崎弥香、今は力を温存しておいた方がいいぞ。これからもっと辛い目に遭わせてやるからな。」

神崎弥香の顔にはさらに怒りが増した。彼女が何か言おうとした時、床に横たわっていた川辺遥真が腕を支えにして、体を揺らしながら必死に立ち上がった。彼の目には怒りと決意が満ちていた。眉をひそめ、河野川司に鋭い視線を向けて言った。「何か手段があるなら俺に向けろ。弥香を傷つけるな。」

川辺遥真は言い終わると神崎弥香の方を向いた。彼の表情はすぐに和らいだ。「弥香、怖がらないで。僕がいる限り、誰にも君を傷つけさせない。」

彼の目は少し赤くなっていたが、顔には依然として笑みを浮かべていた。神崎弥香は彼のその姿を見て、心の中の罪悪感がさらに深まった。

河野川司は唇に嘲笑を浮かべ、皮肉っぽく言った。「いいぞ、川辺遥真、ヒーローごっこがしたいんだろ?望み通りにしてやる。でもね、俺は本当に気になるんだ。お前の親は海浜市では名の知れた知識人で、普段から人より上だという態度だろう。お前のことが広まったら、川辺家はどうやって世間と向き合うのかな。」

川辺遥真はその言葉を聞き、胸が激しく上下し、拳を強く握りしめた。全身を震わせながら河野川司に向かって低く吠えた。「この畜生が。」

川辺遥真は完全に理性を失い、河野川司に猛然と飛びかかった。両手で河野川司の腕をきつく掴み、膝を河野川司の腹に押し当て、全力で何度も蹴りを入れた。河野川司は反撃する余地もなく、瞬時に地面に打ち倒された。

その後、川辺遥真はポケットからメスを取り出し、河野川司の首に突きつけた。憎々しげに河野川司を睨みつけ、瞳に黒い感情が渦巻いていた。「生きたいなら、今すぐ弥香を解放しろ。さもなければ殺す。」

河野川司は全く恐れを見せず、手下たちに目配せした。彼らはすぐに理解し、数歩で神崎弥香の前に立ち、同じように短刀を彼女の首に強く押し当てた。