病室の中の声が瞬く間に途切れ、恐ろしいほどの静寂が訪れた。
深井麻衣は隣でまだ呆然としている神崎弥香を見た。彼女は素早く床に落ちた保温容器を拾い上げ、中身を確認した。幸い、食事はこぼれていなかった。
彼女は深呼吸し、手を伸ばして弥香の肩を押し、目には不安の色が浮かんでいた。「弥香、もうこの事は絶対に隠し通せないわ。どうするつもり?」
神崎弥香のまつ毛が震えた。彼女は麻衣の手から保温容器を受け取り、感情を隠しながら言った。「麻衣子、私が入って彼とよく話し合うわ。畑野さんが出てきたら、二人で先に帰って食事をして、それからゆっくり休んで。この間、あなたたちも十分疲れたでしょう」
深井麻衣はこの問題に自分と畑野信彦が介入できないことを理解していた。三神律を説得できるのは神崎弥香だけだった。彼女は心配そうな表情で言った。「弥香、これは普通の人でも受け入れがたいことよ。まして、あんなに誇り高くて強い三神律なら尚更だわ。彼にもっと時間と忍耐を与えてあげて」