三神律は表情を平静に保ち、軽く目を上げて神崎翔を一瞥した。まるで何か汚いものでも見たかのように、すぐに視線を逸らした。
神崎翔は三神律の顔に何の動揺も見られないのを見て、自分が今言ったことが綿に拳を打ち込んだようなもので、柔らかく無意味に終わったと感じた。
特に三神律は下半身が麻痺していたが、彼からは少しの落胆や卑屈さも感じられなかった。相変わらず高貴で近寄りがたい様子だった。
それが彼を不快にさせ、苛立たせた。以前、三神律が高い地位にいた時は彼をさんざんに弄び、辱めたので、彼はとっくに三神律を憎んでいた。三神律が失脚する日をどれほど長く待ち望んでいたことか。今やっと三神律が高い地位から転落したのに、三神律は彼が想像していたような姿ではなかった。
しかし神崎翔はほんの一瞬腹を立てただけで、すぐに気を取り直した。彼は三神律の冷静さは人前で装っているだけだと推測した。そうでなければ、誰がこれほどの挫折と変化を経験して、彼のように感情を安定させることができるだろうか。
彼はますます自分の考えが正しいと思い、気分が一気に良くなった。彼は三神律をじっと見つめ、挑発的に唇の端を曲げて嘲笑った。「三神社長、高い地位に長くいすぎて、何でもできると思っていたんじゃないですか?あの時、一人で約束の場所に行って人を救おうとするなんて。それのどこが三神財団の社長のやることですか。明らかに恋のために無謀な行動をする若造じゃないですか。今こんな状態になって、きっと心の中では後悔してるんでしょうね?」
三神律は神崎翔が来た目的を知っていた。彼は調子のいい時だけ寄ってきて、落ちぶれた時には踏みつける卑劣な小人に構う気はなかった。彼は冷たい表情で神崎翔を見て言った。「言い終わった?もう帰っていいよ」
神崎翔の目尻の笑みはさらに深まり、不満げな口調で返した。「三神社長、私はわざわざ遠くからあなたを見舞いに来たのに、そんなに急いで追い返そうとするんですか?あなたはちょっと非情すぎるんじゃないですか」