第221章 忘れられない大晦日の夜!

神崎弥香は手を止め、布巾で手を拭いて、振り向いて三神律に微笑みかけた。「何て言ったの?」

三神律が話そうとした瞬間、ドアをノックする音が聞こえた。

二人同時に外を見た。神崎弥香はこんな時間に誰が来るのか想像できず、急いで数歩進んでドアスコープを覗き、来訪者を確認してからドアを開けた。

フラッシュ配達の制服を着た二人の配達員がドアの前に立っていた。彼らの横のカートには大きな束のエクアドル産の青いバラが置かれていた。配達員は彼女を見ると、満面の笑みで尋ねた。「神崎弥香さんでしょうか?」

神崎弥香は笑顔で頷いた。

「こんにちは、この花束を受け取っていただけますか?三神律様からあなたへのプレゼントです。」

神崎弥香は振り返って後ろにいる三神律を見た。彼は優しい表情で彼女を見つめていた。彼女は唇を噛み、三神律に少し照れくさそうに微笑んでから、配達員に向き直って「ありがとう」と言い、受領書に自分の名前を書いた。

二人の配達員が慎重に花束を部屋に運び込み、リビングに置いた後、二人は声を揃えて「新年おめでとうございます!」と言って、ドアを閉めて去っていった。

神崎弥香はその花束を見て、三神律を見つめて冗談めかして言った。「この家の玄関は広くて良かったわ。他の家だったら、この花束は入らなかったかもしれないわね。」

「それを考慮しなかったら、99999本注文していたよ。弥香、僕は一生で君にだけ花を贈るつもりだ。気に入った?」

神崎弥香は片手を腰に当て、眉をわずかに寄せた。「気に入ったわよ、でもこんな花は高すぎるわ。あなたがどんなにお金持ちでも、それは苦労して稼いだものなのよ。これからはこんなに高価な花を買わないでね。」

三神律は口角を上げた。「弥香、こっちに来て。」

神崎弥香は数歩で三神律の側に行き、三神律は彼女の手を握り、深い愛情を込めた眼差しで彼女を見つめ、彼女の耳元で囁いた。「弥香、君が喜んでくれるなら、それだけの価値があるんだ。」

神崎弥香は彼を見つめ、二人の視線が瞬時に絡み合った。二人は思わず近づき、柔らかな灯りの下で、二人の距離はほんの僅かになった。

「弥香、目を閉じて。」三神律は手を上げて彼女の頬に触れ、彼の熱い息が神崎弥香の顔にかかり、彼の眼差しは極めて優しく抑制されていた。