第050章 発熱

綾瀬光秀は高橋優奈のその言葉を聞いた時、眉間にさらに深いしわを寄せた。

男の足取りは思わず早くなり、南館に着くと、綾瀬謙二と霧島瑞姫がすでに待っていた。

霧島瑞姫は軍医で、綾瀬光秀が先ほど高橋優奈を抱えて戻ってきた時に、あらかじめ綾瀬謙二に電話をかけていたのだ。

綾瀬光秀が女性をベッドに寝かせると、霧島瑞姫はすぐに近づいた。彼女は手を伸ばして高橋優奈の額に触れ、次に自分の額に触れたが、何も言わずに医療バッグから数錠の薬を取り出し、綾瀬光秀を一瞥した。「水を持ってきて」

綾瀬光秀は一瞬戸惑ったが、すぐに言われた通りにした。

霧島瑞姫は男の手から水を受け取り、高橋優奈に薬を飲ませた。

彼女は立ち上がり、綾瀬光秀を見た。「どうして急に熱を出したの?」

「彼女は退屈だから祠堂に跪いていて、ずっと冷たい風に当たっていた」