霧島律の言葉が終わるや否や、彼の襟は綾瀬光秀に掴まれていた。
普段は人に対して冷淡な男が、今や目に凶暴さと冷酷さを宿していた。「霧島律、俺の事にはあまり口を出さない方がいい。好きな女を娶れないのなら、自分自身に問題があると考えるべきだ。それに、お前が理解すべきことは、この世界では強者だけが力を行使する機会を持つということだ、わかるか?」
霧島律は不満げな表情で綾瀬光秀の束縛を振り払い、反論した。「兄さん、冗談でしょう。強者が力を使うのは、人の心は買えないという道理を理解していないからだ。肉体を奪ったところで、何が誇れるというんだ?!」
この言葉に綾瀬光秀は突然目を細めたが、すぐに男は笑った。「残念なことに、お前のいう人の心は、お前に一つの肉体さえ手に入れさせなかったな。」