第211章 それじゃあ強引にでも連れて行くつもりなの？

彼女が言い終わると、根岸詩音がため息をついた声が聞こえた。「わからないわ。でも時々誰かがプレゼントをくれたり、食事に誘ってくれたりすれば、祖父もそんなに急いで結婚を迫らなくなるでしょう。それに花を贈ったり食事に誘ったりする男性も独身だから、別の結婚相手を探すこともできる。こうすれば誰にも迷惑をかけないから…とりあえず先延ばしにしておくわ」

それを聞いて、高橋優奈は思わずうなずいた。「わかったわ。でも綾瀬さんに誰がいいか聞いてみた方がいい？」

「どうして？今あなた、彼をそんなに信頼してるの？」

高橋優奈は一瞬戸惑い、すぐに反論した。「そんなことないわ。桜井昌也の素性は謎めいていて、横浜ではほとんど知られていないけど、彼も綾瀬光秀の特別補佐でしょう？彼はきっと綾瀬社長のことをよく知っているはず。河合さんも綾瀬さんの友達だし、二人とも彼はよく知っているから、あなたの一生の大事なことだから、ちょっと聞いてみようかなって」