第250章 公正

綾瀬光秀は監視カメラの映像から目を離さず、彼に酒をこぼした人物が映るまで見続けた。

映像を拡大すると、そのウェイターが彼からスマホを取り上げる様子がはっきりと確認できた。

男は眉間を押さえ、自分の油断に悔しさを覚えた。

5分後、監視カメラの映像から、ついに高橋優奈の最後の行方が判明した。

……

1213号室の前で、綾瀬光秀は険しい表情で立っていた。ホテルスタッフがカードキーをスワイプすると、ドアが開いた。

綾瀬光秀が足を踏み入れようとしたが、何かを思い出したように隣にいる綾瀬瑞樹と藤原羽美を一瞥した。「俺が入る。お前たちはここで待っていろ」

言い終わるや否や、男は大股で中に入り、ドアを勢いよく閉めた。

1213号室はダブルベッドルームで、レイアウトはシンプルだった。君月ホテルの中では比較的安価な部屋だ。

綾瀬光秀は部屋を一瞥しただけで、すぐにベッドに視線を固定した。

高橋優奈はそこで眠っているようだった。顔は反対側を向き、ホテルの薄い掛け布団を被っていた。室内のエアコンは快適な温度に設定され、南東の方向にあるテーブルには半分ほど飲まれた……酒があった。

彼が近づくと、ベッドの女性の髪が乱れているのが分かった。まるで誰かに揉まれたかのように、あるいは何か激しいことを経験したかのように……

綾瀬光秀はすぐに眉をひそめ、何かの思いつきで掛け布団をめくった。

彼女の身に着けた破れた衣服を見た瞬間、男の瞳孔が急に縮んだ——

元は精巧で美しいピンクのドレスが、今は乱れてボロボロに女性の体にかかっていた。引き裂かれた跡が目立ち、恐ろしかった。女性の首には濃淡さまざまなキスマークが散らばり、その色合いだけで押し付けられた力の強さが容易に判断できた。そのような痕は首から腕、そして空気にさらされた脚まで、至る所に見られた。

綾瀬光秀の顔には驚愕の色が浮かび、瞳にはこれまで以上に深い感情が渦巻いていた。彼の骨ばった指はきつく握りしめられ、冷たい様子は周囲の静かな空気さえも沸騰させるようだった。

彼はすぐに自分のスーツを脱ぎ、女性を抱き上げてスーツを彼女に掛け、抱きかかえてドアへと向かった。