綾瀬光秀は監視カメラの映像から目を離さず、彼に酒をこぼした人物が映るまで見続けた。
映像を拡大すると、そのウェイターが彼からスマホを取り上げる様子がはっきりと確認できた。
男は眉間を押さえ、自分の油断に悔しさを覚えた。
5分後、監視カメラの映像から、ついに高橋優奈の最後の行方が判明した。
……
1213号室の前で、綾瀬光秀は険しい表情で立っていた。ホテルスタッフがカードキーをスワイプすると、ドアが開いた。
綾瀬光秀が足を踏み入れようとしたが、何かを思い出したように隣にいる綾瀬瑞樹と藤原羽美を一瞥した。「俺が入る。お前たちはここで待っていろ」
言い終わるや否や、男は大股で中に入り、ドアを勢いよく閉めた。
1213号室はダブルベッドルームで、レイアウトはシンプルだった。君月ホテルの中では比較的安価な部屋だ。