第250章 公正

綾瀬光秀は監視カメラの映像から目を離さず、彼に酒をこぼした人物が映るまで見続けた。

映像を拡大すると、そのウェイターが彼からスマホを取り上げる様子がはっきりと確認できた。

男は眉間を押さえ、自分の油断に悔しさを覚えた。

5分後、監視カメラの映像から、ついに高橋優奈の最後の行方が判明した。

……

1213号室の前で、綾瀬光秀は険しい表情で立っていた。ホテルスタッフがカードキーをスワイプすると、ドアが開いた。

綾瀬光秀が足を踏み入れようとしたが、何かを思い出したように隣にいる綾瀬瑞樹と藤原羽美を一瞥した。「俺が入る。お前たちはここで待っていろ」

言い終わるや否や、男は大股で中に入り、ドアを勢いよく閉めた。

1213号室はダブルベッドルームで、レイアウトはシンプルだった。君月ホテルの中では比較的安価な部屋だ。