第263章 あなたは嬉しいの?

午後、仕事が終わった後、営業部の同僚たちがまだ全員帰っていないうちに、綾瀬光秀が降りてきた。

彼が入ってくると、もともと帰るつもりだった同僚たちも、大きな動きをする勇気がなくなった。

従業員として、上司の前で時々自分の仕事への熱意を示すのは、非難されるべきことではない。

高橋優奈は皆に残業させないように、素早く荷物をまとめ、男性をちらりと見て、淡々と言った。「行きましょう」

彼女はそう言うと、すぐに足を踏み出して去り、部署の入り口でタイムカードを押して、営業部を出た。

全過程での男性とのやり取りは、その二言「行きましょう」だけに限られていた。

二人が営業部を出た後、部署内では議論が始まった——

「綾瀬社長は優奈の前では性格がとても良さそうね?!」

「そうそう、きっと女性にはすごく優しいんだよ!」