第363章 私は、簡単に拒否される人に見えるか?

河合航平のこの言葉を聞いたとき、根岸詩音は驚かずにはいられなかった。

彼女の顔に浮かんでいた冷笑がたちまち薄れ、目の中の表情もそれに伴って深くなった。

空気が一瞬にして静まり返った。

傍らにいた高橋優奈は、根岸詩音が電話をまだ耳に当てているのに、長い間何も言わないのを見て、さらに先ほどの彼女と河合さんとの会話の口調を考え合わせると、向こうが何か返答する価値のないことを言ったのだろうと判断できた。

この静寂は約1分ほど続き、根岸詩音がようやく再び声を出した。「わかった、会いに行くわ」

言い終わると、彼女は河合航平の返事を聞かずに、すぐに電話を切った。

根岸詩音は高橋優奈の方を向いて言った。「優奈、ちょっと出かけてくるわ」

「でも、婚約式の時間がもうすぐじゃない?」

根岸詩音は自分の携帯電話を高橋優奈の手に渡した。「大丈夫よ、私の携帯を持っていて。今から河合さんに会いに行って、話が終わったら直接メイン会場に行って、氷室直人と婚約式を行うわ」