相手の言葉が終わるや否や、綾瀬光秀は瞬時にソファから立ち上がり、テーブルの上に置いてあった車のキーを手に取りオフィスのドアへと向かった。
霧島律も立ち上がって後を追った。「兄さん、どうしたんですか?」
……
綾瀬光秀と霧島律は一緒に病院へ向かった。
二人は手術室の外で待っていた。
どれくらい時間が経ったか分からないが、手術中の赤いランプが消え、中から医師が出てきた。
綾瀬光秀は表情が険しく、医師の前に歩み寄って尋ねた。「どうなっていますか?」
「患者さんは流産しました。今、掻爬手術を行ったところです。」
「車にぶつかったから流産したのですか?」
「それも一因ですが、主な原因は患者さんが流産を引き起こす薬物を服用したことです。」
医師の言葉が落ちた後、綾瀬光秀は長い沈黙に包まれた。