桜井昌也が言い終わると、綾瀬光秀はソファから立ち上がり、彼の側に歩み寄り、暗い目で彼を見つめた。「人の不幸を喜ぶような言葉は、少し控えられないのか?」
「珍しく君の失敗を見られる機会だから、当然幸災楽禍を楽しませてもらうさ?」
綾瀬光秀は足を上げて一蹴り、男の足首を直撃させた。
桜井昌也は痛みに「っ」と声を漏らし、手で足首を押さえながら不満そうに彼を睨みつけた。「そこまでする必要ある?」
「出て行け」
桜井昌也「……」
彼は動かず、薄い唇を開いた。「商談はどうするんだ?テレサと協力できれば、綾瀬グループの他の多くの製品もアメリカ市場に進出できる。さらに向こうに海外倉庫を設立すれば、大量注文の顧客が工場を見に来る以外は、小規模顧客にも迅速に商品を届けられる。綾瀬グループにとって、これは滅多にない機会だぞ」