雪村郁美は分別のある様子でうなずいた。「わかりました。これからは勝手にここに現れたりしません。でも、電話をかけてもいいですか?」
「うん。」
……
北江竹園。
あの日、車の中で松本時雄とあんなことがあってから、河合奈緒は彼に会いに行くことはなかった。
しかし、24時間冷静になった後、彼女は家の二人のボディガードにソングの外で見張りをさせた。主に見張っていたのは当然、雪村郁美だった。
今、彼女は家でゲームをしていた。ちょうど夢中になっているときに、携帯が鳴った。
少女は最初、出るつもりはなかったが、着信音が鳴ったとき反射的に画面を見ると、ソングを見張っているボディガードからの電話だった。彼女はゲームのコントローラーを投げ捨て、電話を取った。「もしもし、何かあった?」
「見張るように言われた人が現れました。」
彼女はすぐに尋ねた。「あの女がまた松本時雄に会いに行ったの?」
「はい。」
「いつ行ったの?」
ボディガードは言った。「20分前に入って、今出てきました。松本さんと一緒です。レストランに食事に行くようです。」
河合奈緒は聞けば聞くほど腹が立った。「ついていって。どこのレストラン?住所を教えて。」
「はい。」
電話を切ると、河合奈緒はすぐに2階に上がって服を着替えに行った。
20分後、彼女は階下に降り、ボディガードはすでに住所を送ってきていた。彼女は車の鍵を取り、玄関に行き、靴を履き替えてドアを開けた。
あいにく。
ちょうど外から帰ってきた河合航平とばったり会った。
少女は一瞬心が動揺した。「お兄ちゃん...どうしてこんな時間に帰ってきたの?」
「俺がこの時間に帰ってきちゃいけないなんてルールでもあるのか?」
河合奈緒は笑って、道を譲った。「ないない、入って。私ちょっと用事があって出かけるところ。」
彼女の言葉が終わっても、河合航平は入る気配を見せなかった。
少女は彼を見た。「お兄ちゃん、どうして入らないの?」
「どこに行くんだ?」
「出かけるの、友達とランチ。」
「どの友達だ?」
彼女はあいまいに答えた。「友達よ。」
「いつ約束したんだ?」
「なんでそんなにいろいろ聞くの?」