宮本邸。
林知恵は帰ってくるなり、昏々と眠りこけていた。
最後には空腹で目を覚まし、動くのが不自由なため、ドアの外に向かって声をかけた。
「お母さん?」
「おじさん?」
しかし返事はなく、彼女は自分の声が小さすぎて、山下穂子と宮本石彦に聞こえなかったのだと思った。
手を伸ばして携帯を取ろうとしたとき、ベッドサイドに置かれたメモに気づいた。
「お母さんはおじさんと一緒に外出中よ。少しおやつを用意しておいたから、お腹が空いたら食べてね。」
お盆を開けると、小さなお菓子が三つ。
山下穂子は本当に彼女を小鳥の胃袋だと思っているらしい。
三つの小さなお菓子を、林知恵は二口で平らげたが、まだ腹の虫が鳴いていた。
仕方なく、ベッドサイドの内線電話を取り、キッチンに電話をかけた。
「おばさん、何か食べるものはありますか?」