折木和秋に渡せるのか?
もちろん渡せない。
彼女自身が言ったように、携帯には山下穂子と宮本石彦を辱めた写真がたくさん入っている。
残念ながら、今は渡すか渡さないかは彼女の意志ではなくなった。
宮本当主は後ろのボディガードに目配せし、ボディガードは彼女の携帯を奪い取り、画面のロックを解除して渡した。
ギャラリーには何百枚もの写真があり、当主はほとんど画面を握りつぶしそうになった。
「折木和秋、よくやったな。私の警告が足りなかったようだな!」
「お、お爺様、私は...」
折木和秋は体が弱り、ほとんど跪いて許しを請うところだった。
宮本当主は彼女を見もせず、携帯を宮本深に投げ、冷たく言った。「適切に処理しろ!」
「はい。」
宮本深はさらりと答えた。
そのとき、木村悦子が来て、林知恵の様子を見て悲鳴を上げそうになった。
「林知恵!あなた、患者としての自覚はないの?点滴をしているのに、献血しているみたいになってるじゃない!」
皆はそこで初めて、林知恵の点滴をしている手が血が逆流し、赤い点滴チューブが恐ろしい光景になっていることに気づいた。
林知恵は体を崩し、木村悦子の腕の中に倒れ込み、困ったように言った。「先生、さっきから少し具合が悪いんです。昨日お酒を飲んだせいでしょうか?」
「よくお酒のことを言えるわね。昨日一体どれだけ飲んだの?アルコール検査したら、あなたが酒豪だと疑うほどだったわ!具合が悪いのはお酒とは関係ないわ。刺激を受けてはいけないって言ったでしょ。誰かがまた刺激したの?本当にひどい!何の魂胆なの!」木村悦子は大声で言った。
説明すべきことは木村悦子が全て言ってくれたので、林知恵は安心できた。
宮本当主はそれを聞いて冷たく鼻を鳴らし、背を向けて去った。
雪村真理は賢い人で、軽く折木和秋を一瞥し、宮本深の方を向いた。
「三男様、出張から降りたばかりで、秘書から折木和秋に何かあったと聞いて急いで来ましたが、今はとても疲れているので、休みに帰ります。」
言外の意味は、折木和秋が自分の好意を利用したことを非難していた。
宮本深はうなずいた。
雪村真理は林知恵を見て言った。「ゆっくり休んで、スタジオで会いましょう。」
林知恵は感謝して言った。「ありがとうございます、雪村長。」