第68章 選択をする

折木和秋に渡せるのか?

もちろん渡せない。

彼女自身が言ったように、携帯には山下穂子と宮本石彦を辱めた写真がたくさん入っている。

残念ながら、今は渡すか渡さないかは彼女の意志ではなくなった。

宮本当主は後ろのボディガードに目配せし、ボディガードは彼女の携帯を奪い取り、画面のロックを解除して渡した。

ギャラリーには何百枚もの写真があり、当主はほとんど画面を握りつぶしそうになった。

「折木和秋、よくやったな。私の警告が足りなかったようだな!」

「お、お爺様、私は...」

折木和秋は体が弱り、ほとんど跪いて許しを請うところだった。

宮本当主は彼女を見もせず、携帯を宮本深に投げ、冷たく言った。「適切に処理しろ!」

「はい。」

宮本深はさらりと答えた。

そのとき、木村悦子が来て、林知恵の様子を見て悲鳴を上げそうになった。

「林知恵!あなた、患者としての自覚はないの?点滴をしているのに、献血しているみたいになってるじゃない!」

皆はそこで初めて、林知恵の点滴をしている手が血が逆流し、赤い点滴チューブが恐ろしい光景になっていることに気づいた。

林知恵は体を崩し、木村悦子の腕の中に倒れ込み、困ったように言った。「先生、さっきから少し具合が悪いんです。昨日お酒を飲んだせいでしょうか?」

「よくお酒のことを言えるわね。昨日一体どれだけ飲んだの?アルコール検査したら、あなたが酒豪だと疑うほどだったわ!具合が悪いのはお酒とは関係ないわ。刺激を受けてはいけないって言ったでしょ。誰かがまた刺激したの?本当にひどい!何の魂胆なの!」木村悦子は大声で言った。

説明すべきことは木村悦子が全て言ってくれたので、林知恵は安心できた。

宮本当主はそれを聞いて冷たく鼻を鳴らし、背を向けて去った。

雪村真理は賢い人で、軽く折木和秋を一瞥し、宮本深の方を向いた。

「三男様、出張から降りたばかりで、秘書から折木和秋に何かあったと聞いて急いで来ましたが、今はとても疲れているので、休みに帰ります。」

言外の意味は、折木和秋が自分の好意を利用したことを非難していた。

宮本深はうなずいた。

雪村真理は林知恵を見て言った。「ゆっくり休んで、スタジオで会いましょう。」

林知恵は感謝して言った。「ありがとうございます、雪村長。」