木村悦子は廊下の奥から扉を押し開けた。扉の向こうには中庭の小さな庭園があり、社長のオフィスに繋がっていた。
庭園のスタイルは前衛的なロビーと全く同じで、木々や景観が一つ一つ配置され、とても風情があった。
まるで木村悦子の二面性のある生活のように、全く調和していなかった。
木村悦子は焦っていたため、背後にいる林知恵に全く気づかなかった。
林知恵は小さな庭園に身を滑り込ませ、造景の假山の後ろに隠れてからこっそりと様子を窺った。
その時、折木和秋は木の下で既に長い間待っていた。
木村悦子は前に進み彼女の手を取ろうとしたが、払いのけられ、避けられた。
「何しに来たの?あなたの愛人の世話で忙しくないの?」
折木和秋が立ち去ろうとすると、木村悦子は彼女の腰をぐっと抱き寄せ、顔を掴んで強引にキスをした。