第155章 お前、こっちに来い

木村悦子は廊下の奥から扉を押し開けた。扉の向こうには中庭の小さな庭園があり、社長のオフィスに繋がっていた。

庭園のスタイルは前衛的なロビーと全く同じで、木々や景観が一つ一つ配置され、とても風情があった。

まるで木村悦子の二面性のある生活のように、全く調和していなかった。

木村悦子は焦っていたため、背後にいる林知恵に全く気づかなかった。

林知恵は小さな庭園に身を滑り込ませ、造景の假山の後ろに隠れてからこっそりと様子を窺った。

その時、折木和秋は木の下で既に長い間待っていた。

木村悦子は前に進み彼女の手を取ろうとしたが、払いのけられ、避けられた。

「何しに来たの?あなたの愛人の世話で忙しくないの?」

折木和秋が立ち去ろうとすると、木村悦子は彼女の腰をぐっと抱き寄せ、顔を掴んで強引にキスをした。

「んん...」

折木和秋は最初少し抵抗したが、彼の胸の筋肉に触れると、全身の力が抜けていった。

手も無意識に彼の体を優しく撫でていた。

木村悦子は軽く笑った。「嫉妬してるの?安心して、松本香奈は私にとって何でもないよ。あなたのためじゃなければ、相手にもしないよ」

「あなたなんて何なの?私があなたに嫉妬する理由なんてないわ」

折木和秋は白い指で彼の胸を強く突いた。高慢そうに見えたが、少し甘えた様子も見せていた。

木村悦子は彼女の指を握り、唇に当てて軽くキスをし、怒るどころか笑った。「私以外に、あなたのそのプライドの高さに耐えられる人がいる?」

「宮本深?彼はあなたに触れもしないのに、どうやってあなたを満足させるの?」

彼はまた頭を下げてキスをした。今回、折木和秋は抵抗するどころか、彼の頭を抱き寄せ、髪の毛を強く揉んだ。

「ん...私の体はまだ...」彼女は小さく呻いた。

木村悦子は目を赤くして我慢していた。「和秋、我慢できない。他の方法でもいいから」

その後、二人はますます周りを気にせず熱烈にキスを交わした。

キスをしながら服を引っ張りあってオフィスに入っていった。

林知恵は後をついていく勇気がなく、何かアラームを作動させるのが怖かった。

彼女は携帯を見下ろした。これらの動画で十分だった。

彼女は急いでその場を離れ、夜長になるのを恐れ、すぐに動画を松本香奈に送ることにした。