宮本深は彼女を離し、岩に寄りかかって黙り込んだ。
どれくらいの時間が経ったのかわからない。
彼は少し姿勢を変え、片足を曲げて体を支え、やや淡々とした声で言った。「林知恵、私は一体どうすればいいんだ?」
林知恵は彼の意図がわからなかった。
振り向いて口を開きかけたが、言葉が出る前に男の頭が倒れてきた。
宮本深の額が林知恵の頬に触れ、彼女はすぐに異変に気づいた。
いつもは大きくたくましい体が、今は寒さで震えていた。
林知恵は暗闇の中で手探りし、近づいて彼の傷を確かめた。
傷を包んでいた布はすでに血で濡れていた。
彼女はまた袖の一部を引き裂いて、彼の傷をきつく縛るしかなかった。
しかしそれでも宮本深の具合は良くならず、むしろ顔色はどんどん悪くなっていった。
彼は拳を握り、首の血管が浮き出ていたが、顔は紙のように青白く、濡れた髪が額にへばりついていた。
冷や汗が流れ落ち、目はぼんやりとして、言葉にできない魅力があった。
「おじさま?」
「……」
宮本深は返事をせず、ただ全身を緊張させ、何かと戦っているようだった。
林知恵はそれを見て、胸が締め付けられる思いだった。
宮本深は来なくても良かったのに、それでも来てくれた。
じっと見つめながら、彼女は宮本深のシャツのボタンを外し、自分の服も開けて、少し躊躇した後で彼に寄り添った。
宮本深の体が少し震え、拳を握っていた手が林知恵を抱きしめた。
彼の深い瞳は、抱きしめた人をじっと見つめ、その目は深く沈んでいたが、欲情とは無関係だった。
「怖がるな」彼の声はかすれ、これまで見せたことのない感情が滲んでいた。
「うん」
林知恵は小さく返事をした。
服についている位置確認装置をぎゅっと握り、山下穂子が早く救助を呼んでくれることを願った。
うとうとしていると、外から機械音が聞こえてきた。
彼女は反射的に服を引っ張ったが、自分の服はすでに宮本深によってきちんと留められていることに気づいた。
「知恵!知恵!」
なんと山下穂子の声だった。
あんなに潔癖な女性が、ここまで来てくれたなんて。
林知恵は胸が温かくなり、同時に意識が遠のいていった。
……
次に目覚めたとき、林知恵はすでに病院のベッドに横たわっていた。