個室内。
木村社長の林知恵に対する賞賛は誰の目にも明らかで、ほとんど会う人ごとに彼女を紹介していた。
林知恵もすっかり注目を浴びていた。
宴会が半ばを過ぎたとき、林知恵の携帯が突然鳴った。
彼女は取り出して一目見ると、なんと田中慎治からだった。
数秒迷った後、林知恵はトイレに行くと言い訳して個室を離れた。
「田中アシスタント、何か用?」
「林さん、すぐに三男様の部屋に来てください、彼は...」
カタカタカタ...ジジジ...
何かが高いところから転がり落ちる音のようで、続いてノイズが聞こえた。
林知恵は一瞬固まった後、エレベーターに向かって走り出した。
ハイヒールでは速く走れないと気づき、彼女はハイヒールを脱いで裸足でエレベーターに飛び込んだ。
しかし誰かがタバコを消さずにエレベーター内に捨てていた。
「あっ!」
林知恵は痛みでつま先立ちになり、さらにエレベーターのドアにぶつかった。
しかし彼女はそんなことを気にする余裕もなく、痛みを我慢して階のボタンを押した。
道中、彼女は奇妙な姿勢で宮本深の部屋の前まで走った。
何度かドアを強く叩いた後、ようやくドアが開いた。
「おじさま、あなた...」
ドアを開けたのは宮本深ではなく、折木和秋だった。
彼女は外側にシルクのナイトガウンを羽織っていたが、きちんと締めていなかったので、中のネグリジェがはっきりと見えていた。
ネグリジェと言うには大げさで、実際はセクシーなランジェリーだった。
胸元は深いVネックで、花柄のレースが二枚だけ半分隠すように覆い、スカート部分も半透明のレースだった。
林知恵の驚いた視線に気づいた後、折木和秋はゆっくりと外側のガウンを閉めた。
そして驚いたふりをして言った:「ごめんなさい、急いで出てきたから、きちんと締めていなかったわ。三男様をお探し?彼はバスルームにいるわ。」
それを聞いて、林知恵は目を落とし、折木和秋の両脚の水滴を見た。きっと彼女も先ほどバスルームにいたのだろう。
何をしていたのかは、林知恵はもう考えたくなかった。
「大丈夫です。」彼女は三回唾を飲み込んでから、やっとこの二言を言った。