第185章 三男様、あなたはお父さんになります

個室内。

木村社長の林知恵に対する賞賛は誰の目にも明らかで、ほとんど会う人ごとに彼女を紹介していた。

林知恵もすっかり注目を浴びていた。

宴会が半ばを過ぎたとき、林知恵の携帯が突然鳴った。

彼女は取り出して一目見ると、なんと田中慎治からだった。

数秒迷った後、林知恵はトイレに行くと言い訳して個室を離れた。

「田中アシスタント、何か用?」

「林さん、すぐに三男様の部屋に来てください、彼は...」

カタカタカタ...ジジジ...

何かが高いところから転がり落ちる音のようで、続いてノイズが聞こえた。

林知恵は一瞬固まった後、エレベーターに向かって走り出した。

ハイヒールでは速く走れないと気づき、彼女はハイヒールを脱いで裸足でエレベーターに飛び込んだ。

しかし誰かがタバコを消さずにエレベーター内に捨てていた。

「あっ!」

林知恵は痛みでつま先立ちになり、さらにエレベーターのドアにぶつかった。

しかし彼女はそんなことを気にする余裕もなく、痛みを我慢して階のボタンを押した。

道中、彼女は奇妙な姿勢で宮本深の部屋の前まで走った。

何度かドアを強く叩いた後、ようやくドアが開いた。

「おじさま、あなた...」

ドアを開けたのは宮本深ではなく、折木和秋だった。

彼女は外側にシルクのナイトガウンを羽織っていたが、きちんと締めていなかったので、中のネグリジェがはっきりと見えていた。

ネグリジェと言うには大げさで、実際はセクシーなランジェリーだった。

胸元は深いVネックで、花柄のレースが二枚だけ半分隠すように覆い、スカート部分も半透明のレースだった。

林知恵の驚いた視線に気づいた後、折木和秋はゆっくりと外側のガウンを閉めた。

そして驚いたふりをして言った:「ごめんなさい、急いで出てきたから、きちんと締めていなかったわ。三男様をお探し?彼はバスルームにいるわ。」

それを聞いて、林知恵は目を落とし、折木和秋の両脚の水滴を見た。きっと彼女も先ほどバスルームにいたのだろう。

何をしていたのかは、林知恵はもう考えたくなかった。

「大丈夫です。」彼女は三回唾を飲み込んでから、やっとこの二言を言った。