第185章 三男様、あなたはお父さんになります

個室内。

木村社長の林知恵に対する賞賛は誰の目にも明らかで、ほとんど会う人ごとに彼女を紹介していた。

林知恵もすっかり注目を浴びていた。

宴会が半ばを過ぎたとき、林知恵の携帯が突然鳴った。

彼女は取り出して一目見ると、なんと田中慎治からだった。

数秒迷った後、林知恵はトイレに行くと言い訳して個室を離れた。

「田中アシスタント、何か用?」

「林さん、すぐに三男様の部屋に来てください、彼は...」

カタカタカタ...ジジジ...

何かが高いところから転がり落ちる音のようで、続いてノイズが聞こえた。

林知恵は一瞬固まった後、エレベーターに向かって走り出した。

ハイヒールでは速く走れないと気づき、彼女はハイヒールを脱いで裸足でエレベーターに飛び込んだ。

しかし誰かがタバコを消さずにエレベーター内に捨てていた。