第172章 一緒に入る?

宴会に参加していた大半の人々は初めてこのような検査を受けることになり、皆が興味津々といった様子だった。

唯一、折木和秋だけが目に涙を浮かべ、小さな声ですすり泣いていた。

「警察官、寛大な処置をお願いできませんか?知恵はまだ若いのです。この件が広まれば彼女の名声は台無しになってしまいます」

警察官は厳しい表情で言った。「法は法です。誰であれ、それを越えることは許されません」

この言葉を聞くと、さっきまで林知恵の側に立っていたデザイナーたちは、巻き込まれることを恐れて次々と後ずさりした。

林知恵は顔を上げて折木和秋を見つめ、冷ややかに言った。「折木さん、結果もまだ出ていないのに、どうして私に問題があると決めつけるのですか?あなたには予知能力でもあるのですか?」

折木和秋は一瞬固まり、すぐに涙をぬぐった。「ただあなたを心配しているだけよ。何か問題が起きるのが怖かっただけ。余計なことをしたわね」

周囲の人々は視線を送り、その目には林知恵が恩知らずだという思いが少なからず浮かんでいた。

林知恵はそれを気にせず、冷静に検査薬を見つめていた。

そのとき、警察官が前に出てグラスから検査薬を取り出した。

一本の線、二本の線……

皆が驚いている中、折木和秋だけが目を見開き、信じられないという表情を浮かべていた。

「ありえない!どうして陰性なの!絶対にありえないわ!」

その声に、皆は一瞬戸惑った。陰性?これは二本線ではないのか?

林知恵は我に返り、冷たい声で言った。「皆、この種の試薬を初めて見て、二本線が陰性だということを誰も知らないはずなのに、折木さんはなぜか詳しいようですね?」

折木和秋はようやく自分が口を滑らせたことに気づいた。

彼女は唇を噛み、急いで説明した。「私の学校は以前、警察署と教育講座をしたことがあるから知っているのよ」

「そうですか」林知恵は折木和秋を見て冷笑した。

マークから渡されたお酒を飲み終えた直後、彼女は何かがおかしいと感じていた。

その感覚で、すぐに事態の深刻さを認識した。

誤飲と自発的な摂取は全く異なる概念だ。

彼女とマークが積極的に乾杯した場面は、皆が目撃していた。

だから誤飲だと言っても、彼女には証拠がなかった。