第307章 林知恵を見る目が純粋ではない

桑田蘭子は来客を知らせる声を聞き、笑顔で使用人を見た。

「私たちは皆古くからの知り合いだから、大広間は必要ないわ。彼女たちを小広間に案内して、お茶と軽食を用意してちょうだい。少しおしゃべりするわ」

小広間は大広間ほど広々としていないが、プライバシーはより保たれる。

使用人はうなずいた。

桑田蘭子はトイレに行ってから小広間へ向かった。

部屋に入るとすぐに、葉山姫奈がいらだたしげに立ち上がった。

「蘭子、どうしてこんなに遅いの?立派な大広間があるのに、わざわざこんな小広間に来させるなんて」

桑田蘭子は彼女を無視し、上座に座り、傍らの花茶を一口飲んだ。

茶碗を置いてから、やっと顔を上げて葉山姫奈を見た。「姫奈、いつになったらそのせっかちな性格を直すの?」

「あなた...どういう意味?」

葉山姫奈は理解できずに桑田蘭子を見つめた。

桑田蘭子は説明しなかった。

しかし、傍らにいた渡辺青葉は理解した。

まず大広間から小広間への変更、そして普段は従順な桑田蘭子が上座に座り、以前のように叔母である自分と一緒に座らなかった。

これは明らかに二人に対する威嚇だ。

きっと今日の食事会の件に関係している。

渡辺青葉は少し考えてから、葉山姫奈の手を引いて座らせた。

そして自分は軽く笑いながら言った。「蘭子、何か誤解があるんじゃない?」

桑田蘭子はもう遠回しな言い方をやめ、眉をひそめて言った。「叔母さん、今日は叔母さんが山下穂子を呼んだんでしょう?」

「そんなことないわよ。足は彼女自身についているんだから、どこに行くかは私が決めることじゃないでしょう?」

渡辺青葉はフルーツフォークでお皿の果物をつついて、とても気楽な口調で言った。

桑田蘭子はお茶を持ちながら彼女を見て、冷静に言った。「それならいいわ。でも、お爺さまが病気になったから、父は必ず調査するわ。これからは桑田家の人を勝手に使わないで。後で説明がつかなくなるから」

ガチャンという音。

渡辺青葉の手からフォークが皿に落ちた。

彼女の目に一瞬憎しみが浮かんだが、桑田蘭子を見るとすぐに抑え込んだ。

「蘭子、それはどういう意味?私を信じていないの?」

「叔母さん、これは父と兄の決定よ」

桑田蘭子はそっとお茶を置き、口調も優しかったが、言葉は渡辺青葉でさえ反論できないほど重かった。