第378章 庇護

林知恵はエレベーターを出て、ちょうど山田さんに出会った。

彼女は林知恵を見て、すぐに後ろを振り返った。

「あれ?ボディーガードのお兄さんは?」

「桑田社長と一緒に帰りました」林知恵は淡々と答えた。

「え?たった一日だけあなたを守るの?桑田社長って彼氏としては大胆すぎるわね」山田さんは文句を言った後、すぐに「まあでもあなたたち二人の仲は本当に良いわね、昨夜も私のことを気にせずに」とため息をついた。

林知恵は不思議そうな顔をして、昨夜は家に泊まっていなかったと言おうとしたが、突然何かを思い出し、急いで鍵を取り出してドアを開けた。

ドアを押し開けると、林知恵と山田さんは呆然とした。

彼女の家は床以外のすべてがひっくり返されていた。

山田さんは驚いて言った:「これは泥棒に入られたの?もしかして昨夜...私はあなたたち二人が愛を育んでいると思ってたわ。すぐに警察に通報しましょう」

そう言って、彼女は携帯電話を取り出して警察に通報しようとした。

林知恵は彼女の手を止めた:「必要ありません、何が起きたのか分かっています」

「どういうこと?」山田さんは不思議そうに尋ねた。

「誰かが何かを探していたんです」

しかし具体的に何を探していたのかわからなかったため、彼女の家の中も外も隅々まで探し回られ、キッチンの食器棚さえも例外ではなかった。

この人物の名前は、林知恵の頭にすぐに浮かんだ。

渡辺青葉。

昨日、渡辺青葉と宮本石彦が口論していた時、ある一言が林知恵の目を覚まさせた。

人の血で作った饅頭。

林知恵の推測が間違っていなければ、渡辺青葉が指しているのは山下穂子が彼女に贈った嫁入り道具のことだろう。

渡辺青葉の思惑通りなら、彼女はパニックの中で嫁入り道具を取り出して騙された人々に返すはずで、そうすればさらに多くの人が難癖をつけ、さらには彼女にお金を返すよう強要するだろう。

一歩一歩が林知恵と山下穂子を追い詰める可能性があった。

そしてこれらの人々の背後に隠れている人物は、ただ漁夫の利を得るだけでよかった。

しかし...

山下穂子は嫁入り道具について他の誰にも話していないと確信していた。

宮本石彦でさえ一度も言及したことがなかった。

渡辺青葉はどうやってそれを知ったのだろうか?