第397章 星奈が見当たらない

林知恵は幼稚園で事故が起きたと聞くや否や、他のことは一切気にせず飛び出した。

木村悦子と狭山一美が後を追った。

「幼稚園でどうして交通事故が?」

「ここの幼稚園は下り坂の所に建っていて、観光バスが下りてきた時に、運転手も何があったのか分からないけど、全くブレーキをかけずに幼稚園に突っ込んだんだ。ちょうどたくさんの子供たちが活動していて……おいおいおい、待ってよ!」

木村悦子は医者で、人を救うのは天性だった。狭山一美の説明を聞いただけで事故が小さくないことがわかった。

この時、大型バスが幼稚園の塀に引っかかっていた。車の前部は完全に運動場に突っ込み、後部だけが宙に浮いていた。

近くの多くの人々が手伝っていた。

大泣きする子供たちが次々と運び出されていた。

林知恵は前に走り寄り、腕を押さえている子供をつかんだ。これは星奈のクラスの子供だった。

「星奈は?」

子供はびっくりして、泣きすぎて言葉が出なかった。

親は子供のことしか見ておらず、林知恵を押しのけるしかなかった。「分からない、前にはまだ下敷きになった人がいる。」

林知恵はその場に立ちすくみ、頭で必死に体を動かそうとしたが、どうしても動けなかった。

彼女が我に返った時には、すでに急いでいた親にぶつかられて地面に倒れていた。

星奈が車の下敷きになっているかもしれないと思うと、彼女はほとんど転げるようにして幼稚園に入った。

手は何人もの人に踏まれたことだろうが、彼女は全く痛みを感じなかった。

「星奈、ママが来たよ……絶対に何も起こさせないから……」

「林知恵!」木村悦子も群衆の中に割り込んできた。

「知恵。」狭山一美もよろよろと後に続いた。

ついに、林知恵は彼女を知っている親に助け起こされた。

二人は目を合わせ、お互い顔色は真っ青だったが、涙一滴流すことができなかった。

「星奈ママ、一緒に行きましょう。」

「はい。」

二人は支え合いながら前に進み、園長と先生たちが秩序を維持していた。

バスが突っ込んできた時、塀に少し阻まれた後、活動エリアの学校が子供たちのために作ったクライミングフレームに衝突した。

幸いなことに、フレームが倒れた時にちょうど堅固な三角形の空間ができた。

多くの子供たちがそのおかげで難を逃れた。