事態はたった一日で一変した。
朝、宮本深は用事で出かけた。
林知恵と狭山一美は部屋で星奈と朝食を食べ終わり、これから星奈に絵本を読んであげようとしていた。
狭山一美はソファから飛び上がった。
「あっ!森田謙のこの野郎!ネットでデタラメを言いふらしてる!」
林知恵は手に取ったばかりの本を落とし、すぐに自分のスマホを開いた。
森田謙は林知恵に子供がいることを暴露し、さらにその子が桑田剛の子ではないとほのめかしていた。
彼が疲れ果て、さらには憔悴した表情でカメラの前に現れたとき、林知恵は頭皮がゾクゾクした。
「私と林知恵は3年前から一緒でした。星奈は私の子ではないし、彼女の実の父親が誰なのかも知りませんが、3年間彼女の面倒を見てきました。彼女も3年間私をパパと呼んでくれました。本当に彼女と別れるのは辛いです。」
「知恵、あなたが望むものを追い求めるのを止めることはできないけど、私にこんなに残酷にしないでほしい。」
記者が尋ねた:「森田さん、つまり林さんと桑田社長は3年前に別れていて、彼女はお金のために桑田社長のもとに戻り、父親不明の子供を桑田社長の子だと言ったということですか。」
森田謙は悲しげに言った:「子供のことをそんな風に言わないでください。私が彼女のパパです。彼女が体が弱くても、一生面倒を見る覚悟があります。」
記者たちは同情の表情を見せた:「林知恵は病気の子供を利用したんですね!森田さん、焦らないでください。子供の意思は確認しましたか?彼女はあなたを父親として認めていますか?」
「もちろんです。子供の成長記録もあります。これが私と林知恵と子供の関係を証明するものではないでしょうか?」
森田謙はスマホを取り出した。そこには彼が記録した星奈の成長過程がすべて入っていた。すべて林知恵に内緒で撮影したものだった。
民宿での様子や、病院での検査の時の様子もあった。
ある程度の期間ごとに、彼は星奈にパパと呼ばせていた。
星奈が話せるようになると、彼の微笑みの暗示のもと、毎回ビデオの中で甘く彼をパパと呼んでいた。
しかし外部の人から見れば、血縁関係を気にせず子供の成長を記録し、彼女のパパになった男性は、まさに新時代の良い男性、大きな被害者だった。
この状況では、林知恵がどう否定しても虚栄心の強いクズ女に見えるだけだった。