林知恵は薬箱を持って来て、ヨードスワブを一本取り出し、頭を下げて宮本深の傷口を消毒した。
彼女はその傷口を見れば見るほど、何か違和感を覚えた。
突然、彼女の頭に閃きが走り、ヨードスワブをきつく握りしめた。
「三男様、この傷はどうやってできたの?」
「羊肉を切っていて不注意に...痛っ...」
宮本深は急に眉をひそめ、林知恵がヨードスワブを傷口に強く押し当てるのを見た。
林知恵は顔を上げて彼を見つめ、少し笑った。「すみません、三男様、わざとじゃないんです。田中アシスタントに拭いてもらいましょうか?」
彼は彼女をだましていた。
彼女が料理をしたことがないとでも思っているのか?
この切り傷は逆向きだ。
宮本深は平然と言った。「痛くない。」
林知恵はさらに力を加えた。「本当に痛くない?」